米軍は、去る9月 24 日、パトリオット・ミサイル配備に伴う、大型車両 500 台をはじめとする山のような関係物資を那覇軍港に陸揚げし、国道 58 号線を使って嘉手納基地までの大輸送劇を繰り広げました。そして 10 月9日には、うるま市天願桟橋にミサイル本体を積み込んだ貨物船を接岸させ、 11 日には桟橋ゲート前でミサイル搬入に反対して座り込んだ労働団体、平和団体などの市民を県警機動隊を導入・排除して嘉手納弾薬庫へ運び入れました。
嘉手納基地では、F 15 戦闘機などの昼夜をたがわぬ離発着訓練や外来機の度重なる飛来と訓練が実施され地域住民は耐え難い爆音禍にさらされています。その上に、パトリオット・ミサイル配備や、報道されるようにF 15 戦闘機からレーダーに捕捉されないステレス戦闘機F 35 への機種の変更が実施されれば、基地被害に苦しむ住民へ一層の負担となることは明らかです。
そして何より、現下の緊迫する北朝鮮情勢を目の当たりにするとき、嘉手納基地を含む沖縄全体が戦争の脅威にさらされる恐怖を表明しなければなりません。
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が、「日朝ピョンヤン宣言」や「6カ国協議」に反し実施したミサイルの発射実験や 10 月9日の地下核実験は当然許されるものではありません。私たちは、いかなる国の核実験にも核兵器保有にも反対です。また、いかなる国の武力による威嚇にも武力の行使にも反対です。核兵器の廃絶を願い、平和を愛する世界の人々の声に背を向けて、核実験を強行した北朝鮮政府を、私たちは厳しく批判します。しかし同時に軍事的な圧力で北朝鮮政府を屈服させようとする米国政府や、この機会を自国の軍事拡大に利用しようとする日本政府の危険な策動を許すわけにはいきません。
北朝鮮の核実験後、米国政府は制裁のために軍隊による経済封鎖を準備し、日本政府は米軍支援のために周辺事態法を発動しようとしています。関係国いずれかの政府が対応を誤れば極東アジアで大規模な戦争が発生しかねない重大な事態に立ち入ったっています。
ひとたび戦争に突入すれば、真っ先に狙われるのは、米軍基地が集中する沖縄であることは火を見るより明らかです。そうであればこそ、米軍はどこより先に、この沖縄に「迎撃用」といわれるパトリオット・ミサイルを配備しなければならなかったのであり、米軍自身が「沖縄が戦場になる」ということを明らかにした動かぬ証拠といわねばなりません。
私たちは、米国の戦争に沖縄が巻き込まれ犠牲にされることを断固として拒否します。「軍隊が戦争から住民を守る」という常套句が、どのような結果をもたらすものであるかを県民は去る大戦で身をもって経験しています。今こそ、パトリオット・ミサイルが県民を守る『魔法の兵器』などでなく、戦争を誘発し、嘉手納基地と米軍を守るための『悪魔の兵器』であることを明らかにしましょう。
それゆえに、私たちは、このミサイルの嘉手納基地への配備に反対であることをあらためて内外に表明するとともに、北朝鮮をめぐる関係諸国が英知を結集し平和的外交努力によって、今日の緊迫する事態を打開することを求めます。そして日米両政府に対しては、嘉手納基地をはじめとする沖縄米軍基地の強化拡大ではなく、むしろ、その整理縮小・撤去を実現させ、朝鮮半島や北東アジアの軍事的緊張の緩和を図り、それによってこの地域に平和をもたらすことを要求し、この県民大会の総意において決議します。
以上決議する。
2006年10月21日
パトリオット・ミサイルの配備に反対する県民大会
あて先 |
内閣総理大臣 外務大臣 防衛庁長官 防衛施設庁長官 外務省沖縄大使 那覇防衛施設局長 駐日米国大使 在沖米国総領事 米軍四軍調整官 |
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